キャリアの棚卸しのやり方|ジョブ・カードで年末に強みを整理する手順

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「今の会社にこのままいていいのかな」「でも、自分に何ができるのかうまく説明できない」。年末が近づくと、そんなモヤモヤを感じる方も多いのではないでしょうか。

総務省の労働力調査(2025年平均)によると、転職等を希望している人は1,023万人いる一方で、実際に転職した人は330万人でした。転職を考えていても、実際に行動に移す人ばかりではないことがうかがえます。

「辞めるかどうか」を決める前にやっておきたいのが、キャリアの棚卸しです。この記事では、厚生労働省が無料で提供している「ジョブ・カード」を使った棚卸しのやり方を、年末の休みに進められるスケジュールや、実績に自信がない方向けの書き換え例とあわせて紹介します。

キャリアの棚卸しとは?転職を決める前にやる理由

キャリアの棚卸しとは、社会人になってからの仕事やスキル、成果を書き出して整理する作業です。

自己分析・職務経歴書との違い

似た言葉に「自己分析」や「職務経歴書」がありますが、役割は少しずつ違います。

  • キャリアの棚卸し:やってきたことを「事実」として洗い出す作業
  • 自己分析:洗い出した事実から、自分の価値観や向き不向きを読み解く作業
  • 職務経歴書:整理した内容を、応募先に伝わる形にまとめた書類

つまり棚卸しは、自己分析や書類づくりの「材料集め」です。

転職すると決めていなくてもやる価値がある

棚卸しは転職活動のためだけのものではありません。強みが言葉になっていれば、社内の評価面談や異動の希望を伝えるときにも役立ちます。「まだ転職するか決めていない」段階こそ、始めどきです。

年末がキャリアの棚卸しに向いている3つの理由

  • 1年分の記憶が新しい:今年の業務や工夫を具体的に思い出せます。
  • まとまった時間を取りやすい:年末年始の休みなら、後回しにしがちな振り返りに集中できます。
  • 来年の計画につなげやすい:評価や賞与など今年の結果が見えた時点で、2027年の動き方を考えられます。

無料で使える「ジョブ・カード」とは

ジョブ・カードは、厚生労働省が提供している、キャリアプランづくりと職業能力の証明のためのツールです。就職・転職活動だけでなく、在職中のキャリアアップにも使えると案内されています。

3種類のシートの役割

  • キャリア・プランシート:価値観や強み、これからやりたい仕事や働き方をまとめるシート
  • 職務経歴シート:これまでの仕事内容や経験を書き出すシート
  • 職業能力証明シート:免許・資格や、学習歴・訓練歴を整理するシート

Web版「マイジョブ・カード」がおすすめ

様式をダウンロードして紙で書くこともできますが、Webサイト「マイジョブ・カード」での作成がすすめられています。作成した内容をもとに、履歴書や職務経歴書を作れるのも便利な点です。

ジョブ・カードを使ったキャリアの棚卸しのやり方4ステップ

厚生労働省のジョブ・カード在職者向けページでは、次の順番での作成が推奨されています。事実の洗い出しから今後の方向づけまで、無理なく進められる順番です。

STEP1 様式2「職務経歴シート」に仕事を書き出す

会社や部署、期間ごとに担当した業務を書き出します。「何をしたか」だけでなく「どんな工夫をしたか」「何を学んだか」もメモすると、強みを見つけやすくなります。

STEP2 様式3-1・3-2に資格や学習歴を整理する

様式3-1に免許・資格を、様式3-2に学習歴・訓練歴を整理します。社内研修や仕事のための独学も書き出してみましょう。

STEP3 強みと価値観を言葉にする

STEP1・2の内容を見返し、「なぜうまくいったのか」「なぜやりがいを感じたのか」を繰り返し自分に問いかけてみてください。「キャリア・プラン作成補助シート」(省略可)や、サイト内の自己診断(興味診断・スキルチェック・価値観診断)もヒントになります。

STEP4 様式1-1「キャリア・プランシート」で今後の方向を書く

最後に、キャリア・プランシートにまとめます。ジョブ・カード活用ガイドによると、記入するのは「価値観・興味関心」「強み」「将来取り組みたい仕事や働き方」「これから取り組むこと」の4つです。すべてを埋める必要はありません。

年末に向けた棚卸しスケジュール例

一度で終わらせようとせず、週末に1時間前後ずつ進めるのがおすすめです。

  • 1回目(11月の週末):マイジョブ・カードを開き、職務経歴シートに担当業務を書き出す
  • 2回目(11月末〜12月初め):資格・学習歴を整理し、職務経歴シートに工夫や学びを書き足す
  • 3回目(12月の週末):自己診断を使いながら、強みと価値観を書き出す
  • 4回目(年末年始の休み):キャリア・プランシートをまとめ、2027年にやることを決める

この期間は「転職するかどうか」を決めず、判断材料をそろえることに集中しましょう。

「書ける実績がない」ときの書き換え例

「数字で示せる成果がない」ときは、仕事を「目的→工夫→結果」の順に書き直してみてください。数字がない場合は、頻度や規模、周りの反応で表せます。以下はいずれも説明のための架空の例です。

  • 事務職:「毎日データ入力をしていた」→「月末の締め作業を早めるため(目的)、入力ルールを一覧にまとめてチームで共有し(工夫)、確認の手戻りが減ったと上司から評価された(結果)」
  • 接客・販売職:「レジと品出しを担当していた」→「お客様を待たせないため(目的)、混雑する時間帯の前に品出しを済ませる段取りに変え(工夫)、新人スタッフの指導役も任されるようになった(結果)」
  • 営業アシスタント:「営業資料を作っていた」→「営業担当が商談準備に時間を使えるよう(目的)、よく使う資料をテンプレート化し(工夫)、チーム内で標準の資料として使われるようになった(結果)」

キャリアの棚卸しでよくある失敗

  • 会社への不満ばかり書いてしまう:棚卸しの中心は「自分がやってきたこと」です。不満は別のメモに分けましょう。
  • 実績を大きく書きすぎる:盛った内容は面接で深掘りされると説明に困ります。事実をそのまま書きましょう。
  • 完璧を目指して手が止まる:空欄があっても構わないので、書けるところから進めましょう。
  • 一人で抱え込む:強みは自分では気づきにくいものです。行き詰まったら第三者の意見を聞いてみましょう。

棚卸しの結果を「次の一手」につなげるチェックリスト

棚卸しが終わったら、次の項目に「はい」「いいえ」で答えてみましょう。

  • 今の仕事で、これから伸ばしたい強みを使えている
  • 今の会社で、やりたい仕事に近づける道筋が見えている
  • 給与や働き方など、譲れない条件が今の職場で満たされている
  • 職場に、相談できる上司や同僚がいる
  • キャリア・プランシートに書いた「これから取り組むこと」を、今の職場で実行できる
  • 新しく身につけたいスキルがはっきりしている
  • 強みを、具体的なエピソードとあわせて説明できる

最初の5つに「はい」が多いなら、まずは社内で経験を積む道を検討してみましょう。最初の5つに「いいえ」が多く、強みも説明できるなら、転職活動を始めるタイミングかもしれません。身につけたいスキルがはっきりしている場合は、学び直しから始めるのもひとつの選択肢です。興味のある仕事について調べる段階に進む方は、転職の情報収集のやり方|在職中でも迷わない情報源と見極め方のコツも参考にしてください。

一人で行き詰まったら使える無料の相談先

厚生労働省の「キャリア形成・リスキリング支援センター」と「キャリア形成・リスキリング相談コーナー」では、ジョブ・カードを使ったキャリアコンサルティングを無料で受けられます。拠点は全国47都道府県にあり、在職中の方向けの相談コーナーでの相談は原則1回です。時間内に終わらない場合もあるため、書けるところは事前に埋めておくのがおすすめです。キャリアコンサルタントには守秘義務があるため、方向性に迷っている段階でも相談しやすいでしょう。

また、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、500を超える職業の情報に加え、仕事価値観検査やポータブルスキル見える化ツールなどの自己診断も使えます。

よくある質問(FAQ)

Q. ジョブ・カードは会社に提出しないといけませんか?

A. ジョブ・カードは、自分のキャリアを整理するために個人で作成して使えるツールです。応募書類として活用するかどうかも自分で選べます。

Q. 転職を決めていなくても、無料のキャリアコンサルティングは受けられますか?

A. 在職中の方向けにも、ジョブ・カードを使った無料のキャリアコンサルティングがあります。経験や強み、今後の目標について話し合う場なので、方向性に迷っている段階でも利用できます。

Q. キャリアの棚卸しは、どのくらいの頻度でやればよいですか?

A. ジョブ・カード活用ガイドでは、作成後に定期的に振り返ることがすすめられています。年末など区切りのよい時期に年1回を基本とし、異動や昇進など大きな変化があったときに見直すと、内容を新しく保てます。

まとめ

キャリアの棚卸しは、転職するかどうかを決めるための「判断材料づくり」です。無料のジョブ・カードに沿えば、何から書くか迷わずに進められます。

  • 職務経歴シート→職業能力証明シート→キャリア・プランシートの順に進める
  • 空欄があってもよいので、週末に少しずつ書き足す
  • 実績は「目的→工夫→結果」で書き直す
  • 行き詰まったら、無料のキャリアコンサルティングも活用する

棚卸しの結果、転職に向けて動きたいと感じた方はこれからの時期に転職を考える人へ|今動くべき理由と後悔しない転職活動の進め方を参考にしてください。

転職のゼロユニオンでは、これからも転職活動やキャリアに関する情報を発信していきます。年末の区切りに、ぜひキャリアを振り返る時間をつくってみてください。